
それは、2023年の秋のことでした。
私は、一日の終わりにジョギングをするのが好きです。もう数年になります。
走るとは言っても、マラソンの大会にでたりするのが目的では無く、身体ほぐしの為に、家の近所を歩くのよりちょっと早いくらいののんびりしたペースで、ぶらぶら走りるのが大好きです。
時間とか、距離とか、記録とか、何かのために走るのでは無く、自分が気持ちよく感じるためだけ、自分自身の為にのんびり走るのは、とても贅沢で素敵な時間です。
仕事で精神的にとても大変になってしまった時も、ジョギングをすることで「心配事を何も考えないでいい時間」を持つことができて、なんとか凌ぎきったようなこともありました。
数年前ふと、「なんでランニングシューズってこんなに値段が高いんだろう? そして、それを我慢して履かなきゃならないんだろう?、と思った時がありました。
もともと私は、足の幅が広く、そして左右の足の大きさも微妙に違うので、既製品の靴が合いづらいです。そして、足が汗っかきな方なので、靴下に包まれて合わない靴を履いているのがあまり好きではありません。
でも、そういうものだと、そんな風に我慢しなくても良いのだとは、考えたこともありませんでした。
どうせ大会やレースを目指すわけでも無いので、だったら1番安い靴で走ろうと思い、マイシューズはずっと、ワークマンで2,000円で売ってる作業靴寅さんを履いていました。靴底がとても薄い靴です。
靴底が薄くても、フォアフット走法と呼ばれるものに近い、前足部で着地する走り方でゆるゆる走っていたので、膝や腰を痛めることもありませんでした。

そんなある日のこと、なんだか足がきついように感じて、スポーツサンダルで走ってみました。

スポーツサンダルの硬い足紐(ベルト)のせいで靴擦れになり、足の皮が擦りむけて、とても痛くなりました。
そんな時、良いスポーツサンダルを探してスポーツ用品店を見ていて、とても薄いアウトドアサンダルを見つけました。

でもとても値段が高いので、こんなので走れたら良いな、と思ってネットを見ていたところ、「ワラーチ」という、自分で作ることができるサンダルというもののを見つけました。
自分にとって1番気持ちが良いサンダルを、お金をかけずに自分の手で作ることができルなんて、なんて良いのだろうと思いました。ワラーチにも、色んな作り方の種類があり、その中の一つを作り、履いて走ることにしました。
すると今度はとても気持ちよく走ることができました。足紐を、ほどよくゆるく作れるタイプだったので、靴擦れができて足の皮も摺りきれることもありませんでした。
その後数年は、そのサンダルで走ったり、普段使いで履いていたりし、とても満足していました。
そして2023年になってから、この気持ちよさをもっと沢山の人に伝えたいと思うようになりました。
自分で満足しているとはいえ、自分でも経験があるように、サンダル走りは上手に自分の身体に慣らして行かないと、皮膚感覚も走り方も相当変わるので、怪我や事故の可能性も有ります。他の人に伝えるのは、とても責任がともなうように思います。
私自身もはき始めの頃は脚や足を痛めました。また、そういった方にも何人か出会ってきました。
自分自身が、「これなら自信を持って人様に伝えられる」と思えるようになりたいと思いました。そこで、そのサンダルについて、色々自分なりに調査・研究してみることにしました。
作り方もとても複雑に思え、どうしたらできるだけ簡単に、多くのみなさんに作り方やその人の足に合った調整の仕方を教えられるのかについて、ずっと試行錯誤を続けていました。
そんなある、秋の夕方のことです。
その時もまた、私はそのサンダルを履いて走りながら、どうしたら簡単に、サンダル紐の足への当たり具合を調整できるようになるのかなと考えて今した。
走っては違和感を感じると止まり、昏くなる中、道ばたにしゃがみ込んでサンダルの紐を色々調整していました。
そして有るとき、ピンとひらめきました。
なんでこのサンダルって、サンダル紐の足への当たり具合の調整がこんなに大変なんだろう?
大変だったら、サンダル自体を、もっと簡単に自分で設計し直したら良いんじゃ無いか?
と、晩秋の夕方の路上で、突然思いました。
そこから、色んなことが疑問として溢れてきました。
- 作るのも、調整するのも、もっと簡単なサンダルが欲しい。その日の体調によって、サンダルの紐が足に当たる具合が気になったりならなかったりする時もある。そんなときに手軽に、自分自身で自分の足に合うように、サンダルの紐の調整が簡単にできるもの。
- 簡単に分解できて、また簡単に誰でも自分でサンダルを作り直すことができたら、洗濯して綺麗にしやすい。簡単に綺麗にできたら、履くのがまた楽しくなる。
- 色々な紐やソール(サンダルの靴底のこと)を、好きなように自分で試す自由と楽しさが欲しい。肌が弱い人には、肌当たりが優しい紐やソールを使える様に。
- 誰か特別な人に頼ったり依存せずとも、誰でも簡単に自分で自分の脚に合うようにサンダルを作れたり、調整できたら、手作りサンダルを履く人の裾野がもっと拡がるのでは。自分のサンダルがもっと好きになれば、自分の足や身体が好きにならないだろうか。そしてそれは、自分自身をもっと好きになれる人をもっと増やすことにつながるのでは?
とか、色々思いが一気に湧いてきました。
それまでの自分は、いつのまにかまた、自分をそのサンダルのルールに合わせていたように、思いました。
窮屈な靴から自由になりたかったのに、気がつかないうちに、また再び、誰かが決めたサンダルの、窮屈な基準やサイズに、いつのまにか何の疑問も持たずに、自分を合わせようとしていたように思いました。
それゆえ、
「誰か特別な人に頼ったり依存しなくても、誰もが自分の好きな材料で簡単に作れて、安くて丈夫で、地面から地球を一杯に感じて気持ちよくなれて、自分自身をもっともっと好きになれるサンダル」
が、欲しいと思いました。
そのようなサンダルは、その時存在しませんでした。
だから自分で作ることにしました。

「自分で自分が一番良いって思えるサンダルを作ろう」って決めてからはとっても楽しかったです。沢山のひらめきや発見があり、何かに導かれてるのでは無いかとも感じるときが有りました。様々な整体師の方にも話を聞きに行きました。
結果、
- 特定のワラーチやサンダルの紐の結び方や作り方・紐の材質・ソール(靴底)の材質と、心身の健康増進との間に、直接の大きな関連性は無い。サンダルの紐の結び方や材料に関わらず、単純に素足や裸足になれば、人は体調が良くなることは多い。
特定のワラーチやサンダルへのこだわりは、Tシャツは好きだけれどはノースリーブシャツダメというような、デザインや肌触りの好みの問題でしか無い。 - 原理的に、ワラーチのような薄底サンダルを盲目的に、単に履くだけで、姿勢矯正や運動機能矯正はできない。なぜなら、人体は一人一人違い、姿勢も歩き方のクセも違うから。サンダルの単純な素材と構造上、サンダルは作成直後からどんどん変形していく。本当に自分の姿勢矯正や運動機能矯正をしたいのであれば、資格を持ち開業している整体の専門家の助力を仰ぐか、自分で様々な試行錯誤を重ね、自分で自分の身体の専門家になるのが良い。
- 誰かに教えられた良さでは無く、自分自身が自分自身の「気持ちよさ」の感覚を再発見し、それに自信を持てるようになることが、一番大事。
という結論に至りました(あくまで個人の考えです)。
誰かのサイズに合わせて 自分を変えることはない
♪ロクデナシ
自分を殺すことはない ありのままでいいじゃないか
そしてできたのが、このサンダルです。

この、オリジナルサンダルについての名前も、開発を始めてから半年くらいずっと悩んでいました。
このサンダルの特徴を表して、親しみ易くて、ちょっと常識も揺らがせてくれるような名前。
しばらくはずっと「しっぽサンダル」と呼んでいました。踵の後ろに結び目が来て、しっぽのように見えるので。

でも、なんだか今ひとつしっくり来ませんでした。
そんな中、オリジナルサンダルの開発を始めてから大体半年の2024年5月7日の夕方、いつものようにペタペタとこのサンダルを履いて、近所の玉川上水路沿いの舗装されていない道を、走っていました。
いつも以上に、サンダルを通じて感じる地面の感触がすごく気持ち良いって思いました。
この、でこぼこな地面を感じる気持ちよさを伝えたい。
「地面サンダル」?
「大地さんだる」?
いや、
「ちきゅうサンダル」!
と思いました。
自由に作れる自分だけのサンダルで、地球を一杯に感じて欲しい。地球の多様性と同じくらい沢山、素敵な自分だけのサンダルを作って楽しんで欲しい。そして、この地球に今生まれてきたことを嬉しく思い、他の人達や生き物・素晴らしい地球の環境に、思いを寄せて欲しい。
と願い、「ちきゅうサンダル」と命名しました。
ちきゅうサンダルのロゴマークも考えました。地球とサンダルを組み合わせた、わかりやすいデザイン。このサンダルを履く人の個性が、地球の多様性と同じくらい輝いて欲しいという願いが込められたもの。


そこで、このサンダルの特徴を表すシルエットと、色々な願いを込めた幾何学模様を組み合わせたデザインにしました。今後また、変わるかもしれません。

そして、その日のうちに知り合いの弁理士さんを通じて商標登録をしたのでした。
商標登録には、アイリンク国際特許事務所の津田先生に大変お世話になりました。素人の自分では気がつかないような様々な点からこの名称「ちきゅうサンダル」について調査・検討していただき、自信を持って登録申請をしていただくことができました。津田先生に心からお礼を申し上げます。
余談ですが、商標登録、このように自分でもできないことはありません。しかし、自分では気がつかない微妙な名称であったり、素人では調べきれないところで、実は他の方がすでに取得済みの先行する商標と重なっていて、登録ができない可能性も良くあります。その場合、安くない申請費用が無駄になります。やっぱり信頼できる専門家に相談することをお勧めします。
